目的とルール(六)

運動部活動は,体育授業と大目的は一致していると思います.
それは,「人間形成の支援」です.

これは,運動部活動だけではなく,文化部活動も同じです.
私自身は,教育者が行うべき最も大事な支援は,
哲学的思考を育てることだと考えています.
それは,人間形成の最終形(自己の完成)が私にはわからないからです.

哲学的思考を育てて,
人それぞれが(正しいといわれる)最終形を目指していければよいと.

教育者ができる「人間形成の支援」=「哲学的思考を育てる」
は知識の伝達だけでは不十分です.
文化,運動,スポーツ,武道という枠と
そのルールの中で目的を設定し,
その目的を達成しようとする過程での支援で補えると考えています.

陸上で船の作り方(教科書の内容だけ)を教わっても
それだけだと答えありきの行動しかできないでしょう.
目的地にたどり着くための適切な船の形状・大きさや
必要な人員・役割を考えることができなければならないのです.

これには答えがないので,
答えのない中で選択肢を考え,
自分の中で作り出した基準から答えを導き出すことが必要になります.

学校部活動に入ることは,自由です.
この自由は,「船長と海とルール」が決まっているものに
入ることが自由ということです.

船長(監督・コーチ・教員)と海(サッカー,野球,吹奏楽)と
そこにあるルールは決まっています.
入部をするということは,そのすべてを理解して
受容していることが前提になります.
ですので,自由といってもその範囲内でということになります.
もう一つ加えるとリスクも理解して,受容していなければなりません.

学校部活動には,
文化,運動,スポーツ,武道などの部活動といった枠のルールに
人間形成の支援のためのルールが盛り込まれてなければなりませんし,
その活動で考えられるリスクの説明と
その対応に関するルールも作っておくべきだと考えます.
運動部活動の場合,熱中症,心疾患,頭部外傷などのリスクの説明と
その対応方法なども明確にしておく必要があるでしょう.

現在ある課題を解決するには,
学校や船長が,この部分に時間をかける必要があると思います.

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