「データ」と「選手のパフォーマンス」|スポーツウォッチャー放送

GS東京が終わりました.
GS東京期間中の12月3日の23時から
テレビ東京で放送された「スポーツウォッチャー」で
私の科学研究部としての活動を中心に
いろいろと取り上げていただきました.

黒衣である私たちが光を浴びるということは
非常におこがましいことですが,
一方で
科学研究部が1977年に設立して
諸先輩方の「血と汗と涙」そして「不断の努力」に
やっと光りがあたって非常に嬉しく思います.

今よりももっと厳しい時代に
今よりももっと理不尽な時代に
科学研究部の先輩方は歯を食いしばって
泥水をすすって前に進んでこられました.

たまたま,バトンを渡された
私が取り上げられましたが,
すべては先輩方のおかげですし,
リオまで一緒に黒衣に徹してくれた仲間たちの
おかげだと思っています.

ありがとうございます.

今回の放送で1つだけ残念だったのは,
ずっと言い続けてきた
「情報(データ)」と「選手のパフォーマンス」の関係が
ちゃんと伝わっていなかったことです.
ここだけは説明させてください.

データというのは,
直接選手のパフォーマンスに影響を与えることはありません.
ですので,
番組上(技術的な部分に関しても)
私の成果のようになっていましたが
そんなことはありません.

重要なことは,
客観的事実をコーチの感覚的事実にぶつけていくことです.
コーチはこれを受けて一生懸命考えます.
(これを繰り返していくことで哲学的思考が育つと考えています)
そして,コーチが考えて考えて考えて
出てきたアドバイスが
インテリジェンスまで昇華された情報になります.
つまり,選手の意思決定に貢献できる情報です.
この情報が選手の意思決定に影響を与えたのであれば
パフォーマンスに大きく影響を与えるでしょう.
ここは,選手とコーチの信頼関係がどこまで築けているかも関係するので
断言できるところではありません.

「GOJIRA」というシステムが前面に出ていますが,
これは,ゲーム分析や情報共有のインフラを整えただけにすぎません.

もっと重要なことは,
目の前にある課題(仕事)で
とくに
「誰にでもできるけど
 誰もやりたがらない仕事」
をきちんとやっていくことが,
チームサポートを最適化する一番の方法だと考えています.

私はこれを一言で
「トイレ掃除」
と言っています.
トイレ掃除まできちんとできている組織は
非常に質の高い仕事ができていると思います.

例えば,
格好よくなりたいと思って
(競技力向上したいと思って)
最新でおしゃれなスーツを着ても
(最新のトレーニングを導入しても)
最高級の靴や鞄を持っていても
(最新の分析システムや機器を持っていても)
靴に「うんこ」がついていたら格好いいとは思われないですよね.
でも,うんこがついていることに気づいても
取らないことがよくあるのです.
つまり,目的が達成できないんです.

これが,
「誰にでもできるけど
 誰もやりたがらない仕事」

「トイレ掃除」
です.

私は東京五輪に向けて,
この「トイレ掃除」にすべてをかけていきたいです.
先輩から受けたバトンを落とさないように!

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