柔道は生き続ける

「このままでは柔道は存続しない」とか

「こういう人でなければ柔道をやらせない」とか

を聞くと,ぬかすなと思ってしまう自分がいる.

嘉納治五郎師範の教えを守っている人がいる限り

柔道が消えてなくなることはない.

柔道がオリンピック競技から外れようが

講道館がなくなったとしてもである.

千葉先生の言葉を思いだす.

「ロシアの青年が形を習いに講道館の形講習会にきていた.

 私は彼に形選手権に出るのかと聞くと,

 彼は大会には出ないと答えた.

 では何故,日本まで形を習いに来たのか,と聞くと

 本当の形を学びたかったからだと彼は答えた.

 私は海外にこういう人がいて安心した.」

日本にも海外にもチャンピオンスポーツとしての柔道だけでなく

柔道そのものを学び,嘉納治五郎師範の教えを守ろうとしている人は

たくさんいる.

そういう人がいる限り柔道は生き続ける.

どんな世界にもクソみたいなやつはいる.

しかし,嘉納治五郎師範の創った柔道は,

そんな人間たちに潰されるような弱いものではない.
(不祥事や悪事なども含め)


また,柔道というのは

人間形成,教育の場であって,

柔道そのものが「形成」や「教育」をしてくれるものではない.

そこに,教育者がいなければならないのである.

教育者は,その「場」で

学びにきた人の良いものを引き出し,

悪いものが出てこないようにしなければならない.


もし,「こういう人でなければ柔道をやらせない」という対象が,

悪人だったとする.

柔道は危険なもので,これを悪用されるといけないから,と.

このままだと,悪人は悪人である.

私は,悪人を善人に変えるような力が

柔道という場の形成・教育にあると思う.

お利口さんだけを教える場が柔道だとは思わない.


私は自分に問いかける.

「お前は教育者か」と.

この言葉が,今の柔道界に必要な気がする.

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