勝手に連載シリーズ第2弾に入ります。
内容をどうしようか迷いましたが、
「裏・柔道をカガクする」 編にしようと思います。
「柔道を科学する」にしようと思いましたが、
近代柔道で中村勇先生がすでにガッツリやっちゃってますので、
(100回以上続いてます。すげ〜)
その裏番組的な感じでいきましょうかね。
第1弾の時にもいいましたが、
勝手にやっていくので
勝手にシンドバッドもしくは勝手にしやがれでも歌いながら
読んでください。
勝手にやめることもあります。
まず、100回はもちません(笑)
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裏・柔道をカガクする 編 第1回
「競技分析データの再考…の前に」
裏・柔道をカガクする 編では、
先行研究(競技分析)のデータを
今見直すと(違う見方をすると)どういうことが考えられるのか
という感じですすめたい。
そもそも競技分析というものがどういう目的で行われているだろうか。
基本的には、対象大会の競技傾向(柔道スタイル、組み方、受け方なども含む)を明確にし、
選手の国際競技力向上や講道館柔道の正常な国際普及につなげることを
目的としている(中村、2002)。
データなどの情報(インフォメーション)をみて、
それを使うために何らかの評価や判断をする(インテリジェンスにする)わけであるが、
ただみるだけでは何もみえてこない。
それに関わるであろう要因が何であるのかをよく考えて、
多角的にみていく必要がある。
先行研究で多くみられる傾向変化の「要因」は、
IJFが推し進める方針に沿う審判ルールやスポーツルールの改定が多い。
(IJFが推し進める方針の例「ダイナミックで見ておもしろい柔道」、
「レスリングとの差別化」など)
しかしながら、傾向変化に関わる要因は、この他にも
・柔道の国際「普及」から国際「浸透」への移行(中村、2000)
・旧ソ連崩壊後の中央アジア諸国の台頭(中村、2002)
・強豪国コーチの国際化(自給自足型から輸入型へ)など
が考えられる。
単純にルールが変わったから競技傾向が変化したという考え方は危険だ。
ただ、ルール改定が大きな影響を与えていることは否定できない。
そこで、今回は、ルール・競技方法の変遷をまとめて次回につなげたい。
(言い訳します。時間がなかったので、1989〜2005まで。)
1989-1990年(ルール改定)
1989年ベオグラード世界選手権大会。
・積極的戦意に欠ける場合教育的指導がなくなり1回目から指導
・消極的柔道の罰則導入
・偽装攻撃の文章化
・柔道衣サイズの大型化
・試合者の両足が赤畳に5秒間あったら「指導」
1991
1991年バルセロナ世界選手権大会
1992
1992年バルセロナオリンピック
1993
1993年ハミルトン世界選手権大会
・「効果」の基準の改定
・オリンピック出場資格の導入(坂本、2006)
1994
・場外に出る/出すはすべて「警告→注意」
・場内外の基準の変更
1995
1995年千葉世界選手権大会
・抑込技として「浮固」、「裏固」の採用
・オリンピック出場資格の導入(中村、2002)
1996
1996年アトランタオリンピック
1997
1997年パリ世界選手権大会
・消極的柔道の罰則強化(坂本、2006)
・抑込時間の短縮(坂本、2006)
(一本:25秒、技あり:24-20秒、有効:19-15秒、効果:14-10秒)
・8m☓8mの試合場の導入
1998
・青色柔道衣の導入
・消極的柔道の罰則強化(中村、2002;石川、2009)
・袖口の握り方の罰則強化(ピストルグリップ禁止)
・抑込時間の短縮(中村、2002;石川、2009)
・「裏固」の廃止
・厚い柔道衣の禁止(坂本、2006)
・「取り組まない」行為への罰則導入
・引き込みは「指導」
・「効果」基準の変更
1999
1999年バーミンガム世界選手権大会
・厚い柔道衣の禁止(中村、2002;石川2009)
・体重区分の変更
2000
2000年シドニーオリンピック
2001
2001年ミュンヘン世界選手権大会
2003
2003年大阪世界選手権大会
・延長戦(ゴールデンスコア)の導入
・試合時間の変更(シニア:5分、ジュニア:4分)
・罰則の二分化(「指導」、「反則負け」のみ)
2004
2004年アテネオリンピック
2005
2005年カイロ世界選手権大会
*注 決定と実施で1年ずれがあるものもある。
先行研究(中村、2002;坂本、2006;石川、2009)を参考にまとめた。
次回は、上記のようなルール改正を踏まえて、
先行研究(競技分析)をみていきたい。
石川美久他(2009)世界柔道選手権大会における外国人選手の組み方と施技の特徴ー1995年と2005年の比較ー,筑波大学体育科学系紀要,32:101-111.
中村勇他(2002)1995-1999年世界柔道選手権大会の競技内容分析:勝利ポイントと勝利ポイント獲得技による比較,武道学研究,35(1):15-23.
坂本道人他(2006)オリンピック柔道競技の競技分析,大学体育研究,28:15-22.
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