トレーニング編 第12回
勝手に連載シリーズ第1弾ーートレーニング編は最終回.
最終回の内容ということで,
どのようにまとめるか悩んだ…
が,第8回の【追記】が非常に重要な部分なので,
この部分をもう少しだけ掘り下げて,
第1弾を終わりにしたいと思う.
今まで,
「体力トレーニング」
「筋力トレーニング」
「ウエイトトレーニング」
(コトバは様々であったが…)
についての誤解を解くことを目的として,
私の考えを述べてきた.
しかしながら,誤解を解こうと強調した部分やコトバの操作によって,
新たな誤解を招く可能性がある.
なので,トレーニングというものを考えていく上で軸がブレないように,
その軸になる部分の話をする.
その軸になる部分とは,
第8回の追記の部分である.
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コーチは,競技特異性や選手個人の課題を理解し,
パフォーマンスの改善を導く専門的適応を生み出すように,
トレーニングプログラムをデザインしなければならない.
そのため,(単純な)理論だけでは,
すべてのトレーニングを説明できないこと,
必ずしも競技パフォーマンスが改善するとはいえないこと,
を頭に入れておく必要がある.
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上記は,体力・技術の相補性の観点が
必要であることを述べている.
相補性とは,
一方を確定すると他方が不確定になるような2つの量は,
互いに補い合いあうことにより対象の完全な記述が得られるもの
である.
体力・技術の相補性を理解しなければ,
私の考えを極端に捉えてしまうかもしれない.
例えば,
生理学的な効果だけに囚われてしまったり(一方向からの評価),
技術や体力の細分化した項目を一義的・断片的に捉えたりしてしまうかもしれない.
そうなると,結局は同じ過ちを犯すことになる.
以前,中間トレーニングという話をしたが,
それはパフォーマンスの改善のために
体力・技術の相補性の観点から考えたトレーニングになる.
体力要素へのアプローチが個別トレーニングであり,
技術要素へのアプローチが技術トレーニングであるが,
競技特異性や選手個人の課題を理解し,
パフォーマンスの改善を導く専門的適応を生み出すようなトレーニングが
相補性を考慮したトレーニングである.
これらをどのようにバランスをとっていくかが重要であり,
パフォーマンスの改善を導く専門的適応を生み出すように
トレーニングプログラムをデザインすることはアートである.
優れた洞察力と高度な実践力を持つ創造的コーチや選手は,
直感的に運動における体力・技術の不可分な一体としての相補性に気付いており,
その可能性を巧みに活用している(村木,2007).
トレーニングというものを考え行く上で,
これらが軸にあること,
そしてこれらの理解をさらに深められるように
学びと実践をやめてはならないことを記して,
第一弾トレーニング編を終わりにする.
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