いつまでも繰り返す…同じ反省

トレーニング編 第9回

FIFAワールドカップ
日本は予選敗退した.
この4年間の反省がこれから行われると思う…

日本柔道も
方針の見直しや反省は,
4年に1度のオリンピック後に行われる.

日本柔道は,
どのような反省をしてきたのだろうか…

その内容を確認すると,細かいものは除き
1964年から何も変わっていないことがわかる.

「基礎体力不足…とくに筋力とパワーの不足」である.

これは,ロンドンオリンピック後も同じであった…

何故,この課題は未だに解決されないのだろうか.
その理由は大きく分けると,

・その課題に真摯に取り組まなかった
(選手とコーチが共通認識を持って,継続することができなかった)
・真摯に取り組んだが,戦略的に筋の機能を高めることができなかった
・筋の機能を高めることはできたが,
 これをうまく操る能力を向上させることができなかった

ではないだろうか.

私は,単純に
実践の中で,「基礎体力不足…とくに筋力とパワーの不足」と感じたから,
ウエイトトレーニングをやりなさいと結びつけたくはない.

コーチは,
課題解決のために何をやるべきかを根拠を持って
説明できなければならないからである.

そこで,今回は
・筋の機能を高めることはできたが,
 これをうまく操る能力を向上させることができなかった
に焦点をあててみたい.

スポーツ現場で,選手の動作をみて「うまい」という印象を受けることから,
「うまさ」というコトバが用いられる.
印象なので,もちろん主観的である
この「うまさ」は絶対的な指標がない場合が多く,
これを評価することは簡単でない.

石井直方氏のコトバを借りて,
「うまさ」は「自分の思うとおりに,正確に動作を行い,これを再現できること」とし,
そのための能力を「スキル」と考える.

このスキルの基盤となるものは,
さまざまな筋を的確に制御する神経系の能力
である.

スキルを構成する要素を少し細かくみると,
1.状況を把握する能力
2.正確さ
3.素早さ
4.持続性
の4つである.

現場で行われている稽古は,
これらの要素を改善・向上するように
計画されることが望ましいだろう.

しかしながら,稽古の中の
「一つのトレーニング(方法)に対して多くを望みすぎる」ため,
効果的にスキルを向上させることができていない…と考える.

つまり,筋の機能の向上だけではなく
スキルの向上までを考慮した戦略がなければ
課題は解決されないのである.

もう一度戻って,
もし筋の機能を高めることができなかったのであれば,
「一つのトレーニングが持っている強い生理学的効果は一つ」なので,
筋の機能(筋力・パワー)の向上にもっとも効果的と考えられる
ウエイトトレーニングを処方するのである(戦略的に).

同じ反省をしないように!!
深く深く考えていかなければ…

自戒の念を込めて.

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