トレーニング編 第6回
前回は「漸進性」の話をしたので,
今回は,「特異性」の話を少し…
トレーニングによる生理学的適応には,
トレーニングの種類による特異性がある.
言い換えると,運動やトレーニングは,
それ固有の効果しか上げることができない,という特性がある.
前回話をしたベンチプレスで考えてみよう.
(ベンチプレスがどのようなトレーニングか
わからない人はググってください)
ベンチプレスは,上半身を鍛える代表的なトレーニングである.
大胸筋(全体),小胸筋,上腕三頭筋,三角筋前部,
前鋸筋,烏口腕筋などが刺激される.
ストリクト・スタイルでベンチプレスを行った場合,
その時に負荷がかかる筋や筋群しか効果を上げることができないのである.
もう一歩踏み込んで考えると,
ある程度トレーニングを積んでいる人は,
筋力を高めたいのか,筋肥大させたいのか,
筋持久力をつけたいのかという目的に応じて
方法を変えないと効果があがらないのである.
ストレッチングはあくまでも柔軟性の向上させるためのトレーニングであり,
筋力を強化できるわけではないのは,誰もが経験的にわかるだろう.
したがって,自分がどのような運動・トレーニングを実施すべきか,
については熟考する必要がある.
柔道では,「足腰が強い」ことが経験や感覚的にもよいとされている.
このコトバは,柔道に限らず,相撲や野球などでも用いられる.
「足腰が強い」というのは,
土台がしっかりしていて,バランスが崩れにくく,
攻撃防御のどちらでも安定した動作につながることを意味している,
と考える.
この「足腰が強い」に関わる筋群を断定することはできないが,
大腿四頭筋,臀筋*,ハムストリングス*,脊柱起立筋が主であろう.
かりに,A選手がこの大腿四頭筋の筋力は不足しているが,
臀筋,ハムストリングスは充分な筋力を備えている,にしよう.
その彼が,「足腰を強くする」ことを目的とし,ハムストリングスだけを重点的に
トレーニングしていくプランを立てたらどうだろうか.
それは,「労多くして功少なし」のトレーニングに終始することにもなりかねないのである.
トレーニングは,
あくまでも自分の身体の要求に合致したものではなくてはならないのである.
臀筋:大臀筋、中臀筋、小臀筋、大腿筋膜張筋
ハムストリングス:大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋
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