柔道の運動価値を取り戻せ

今回は
少し難しい話します.
記録としても残しておきたいので.
競技運動は
測定競技,評定競技,判定競技の三領域に
分けられます(措定).
測定競技は時間や距離を測定して
数的記録だけによって優位を決めるものです.
なので,どんなに格好よく,
リズミカルに走り,跳び,泳ぎ,
滑ったとしても,
その運動価値は競技として認められません.
(勝敗に関係ないということです)
これに対して,その対極にある評定競技は
どのようにうまく動けるかという規範論的価値を
資格ある審判員の専門的評価能力によって
優位を決めます.
上記の二領域の中間的な判断基準を
持つのが判定競技です.
これらの三競技領域における
優位決定の競技規則は
国際的な合意をえるために
それぞれの国際競技連盟の
手に委ねられています.
そこにおける競技規則の制定は
マスコミとの関係,TV放映権,
地域間の対立などに左右される
複雑な社会背景を抱えています.
本題はここであす.
競技規則の中で,
専門的評価が高いものが
「見る人にわからない」と
その価値が薄まっていて,
一般の方にわかりやすい
(体操やフィギュアでいうと)
回転数を増やすなどに傾斜しています.
柔道でいうと
物理的に背中が
畳に着いたか着いてないかだけで
評価されている(強調される)
ことからもわかると思います.
この傾向は非常に危険で,
投技の一本の条件は,
格技における投技の最高水準を
要求しています.
完全な一本は,
「崩し,作って,技を掛けた相手は
巧みにはずみをとられ,
力強い動きを以て仰向きに倒れる」
ものをいい,
高い運動価値まで求められています.
つまり,強引に力ずくで倒す場合は,
同じ一本でも技の価値は低いと
いうことになります.
オリンピック競技に採用されている間は
この傾向は加速されて
止めることはできないでしょう.
剣道の八段審査会のようなものが
柔道も必要だなと感じる
今日この頃の話でした.
以下,参考・引用してます.
金子明友(2009)スポーツ運動学
松本芳三(1994)柔道のコーチング

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