柔道は最大限の準備と失敗から始まる(四)

「柔道は最大限の準備と失敗から始まる」

前回は
三浦さんを例にして話をしました.
これは「偏見の破壊」を目的としています.

高くて険しい山の登頂を目指せば
「死」と向き合わなければなりません.

目的地に向かう過程で
リスクを0(ゼロ)にはできません.
それは,リスクが可能性の話だからです.

「死」と向き合うということは
このリスクを把握して
目標を達成するために最大限の準備をするということです.
この最大限の準備の中には
「絶対に死なない」が含まれています.
目標を達成しなければならないですから.

最大限の準備といっても,
その人の最大限もしくは
そこに関わる人の最大限になるわけです.
ですので,ここでいう最大限には「実践知」が含まれることになります.
日本語が難しいのですが
最大限の準備の中には「実践知を身につける」ことも含まれるわけです.

エベレストを登頂したいと目標を立てても
いきなりエベレストを登頂することは不可能です.

そのため,エベレストを登頂するために,
様々な山を段階的に挑戦し,攻略していきます.
今の自分の能力とリスクを考えて一つずつ挑戦していきます.
無謀な挑戦ではなく,計画的にです.
その時の自分の最大限の準備をしても,
挑戦の中で,たくさんの失敗をします.
学んだことや準備したことが「つもり」だったことに気づきます.
そして,もう一度学び直し,最大限の準備をして挑戦し,登頂します.
この失敗や成功の経験から,その段階における実践知が身につきます.
エベレスト登頂に必要になるであろう様々な山への挑戦と登頂により
その時の最大限の準備ができるのです.
(どうも,実践知も漸進性の法則に従いそうです.)

最大限の準備→実践→失敗
→失敗から学んだ最大限の準備→実践→失敗…
といった繰り返しが,どこかで成功の準備になります.
この成功の準備になるまでの繰り返しは
数回かもしれませんし
数十回になるかもしれません.
しかしながら,
この繰り返しが次の段階の最大限の準備に含まれているのです.

柔道は海である
柔道は山である
と解釈していますが,

今回述べてきたように
柔道は最大限の準備と失敗から始まります.

ここでいう「失敗」は「次につながる失敗」であり
最大限の準備にならなければなりません.
だから絶対に死んではいけないのです.

今年(2016)の4月25日に仙台の私立高(学校管理下)で
柔道事故が起こり5月10日に男子部員が亡くなりました.

今回の内容は,この件を考えていくために
私の考えを先に整理したものになっています.

この件を考える上で重要なことは,
教育者やコーチは,未熟な個人が設定する目的地の
ずーっと先の目的地を考えておく必要がある,ということです.
次回はこのことについて考えてみたいと思います.

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